森羅万象を統合する視点

これまでの「取材・旅・研究」の集大成として構築されたのが、身体の内・外を融合させた「生体コミュニケーション論」(Biological Communication Theory)です。
身体の内部は理科系、外部は文科系の領域と関わりが深いことから学問の統合、すなわち生理学(医学・栄養学・免疫学)と社会学(民俗学、文化人類学、歴史学)を融合する試みとしても位置づけられます。

こうした融合を前提にすることで、自然の法則、社会で生きる知恵、自己のコンディショニングが地続きになり、理論が理論にとどまらない自己実践、これからの時代に必要不可欠な「生きた学問」がおのずと展開されていくはずです。

「科学的に正しいこと」「暗黙知として成り立ちうるもの」「身体の健康に寄与すること」……これらは身体を媒介して同定でき、ヒトの生き方に寄与する叡智となりえます。そういう認識のもと、学びが再構築できたら、本当に素晴らしいことです。

机上の学びと生活体験、心身のコンディショニング……自己変容をうながすエッセンスのすべてを包含した世界観を共有し、知識を超えた「生きる力」を養っていくこと、それこそが学問の本質、次世代の知のあり方となりえるのです。